単語帳アプリ分析基準13:干渉を防ぐ事が出来るか?

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Taiga

英語講師 / 青学 英米文学科⇨立教 異コミュ研究科 / 研究分野: 外国語語彙習得 / TOEIC975・英検1級・TOEFL iBT 104

NationとWebb(2011)のテクニック・フィーチャー・アナリシスは、語彙学習では干渉を避けるべきであると示唆しています。干渉とは、意味的または形態的な類似による語彙の混同を指します。干渉の可能性がある要因には、意味的クラスタリングと音韻的クラスタリングがあります。意味的クラスタリングは、意味的に関連した語彙を同時に学習することを指し、音韻的クラスタリングは、音韻的に類似した語彙を同時に学習することを指します。研究では、意味的クラスタリングが語彙学習に負の影響を及ぼすことが示されています(Papathanasiou, 2009; Tinkham, 1997)。WilcoxとMedina(2013)も意味的クラスタリングの負の影響を示しましたが、音韻的クラスタリングは学習に有意な影響を及ぼさなかったとの結果があります。

一方で、NakataとSuzuki(2019)は、意味的クラスタリングが長期的には学習に悪影響を及ぼさない可能性があるとの結果を見つけました。しかし、同じ研究では、意味的クラスタリングは意味的に関連性のない項目を学習するよりもセット内エラーを引き起こすことを示しています。セット内エラーとは、同じセット内の語彙間の混乱に起因するエラーを指します。たとえば、学習者が「犬」という語彙を含む単語帳セットで「猫」を学習し、テストで「犬」を「猫」と誤認した場合、これはセット内エラーとしてカウントされます。このような意味的クラスタリングによるエラーは誤解を招く可能性があります。NakataとSuzuki(2019)はまた、意味的クラスタリングが分散効果(間隔を空けて学習する事が有益であるという効果)を減少させることも示しています。したがって、単語帳アプリは、利用者が意味的クラスタリングのない単語帳セットを選ぶことができるようにして、干渉を避けるべきです。逆に言えば、学習者が意味的カテゴリ(例えば、感情、動物、食べ物の単語帳セットなど)で分けられた単語帳セットのみを使用または作成できる場合、そのアプリは理想的ではありません。

元の記事:単語帳アプリおすすめランキングTOP6|違いや特徴を修士研究を元に発表